御曹司たちの溺愛レベル上昇中
カチッとキッチンの明かりが付けられ、眩しくとも目を見開いたままにすれば、
「……おかえり皆。ごめん集中してて気付かなかった」
包丁を下げて、わたしたちに笑いかける雪さん。
「……は」
「……何してんの、雪兄さん」
颯くんと響くんは脱力して、わたしの横に座り込んだ。
一旦包丁を置いて、雪さんは魚の頭を拾う。
「皆居ないし村田さんからの連絡見て、今日は琉衣ちゃんを労ろうかなって思って……料理をしてたんだっ」
笑顔でそう言ってくれるのは、とても嬉しいのだけど……
手には魚の頭、床には生臭い魚の血。
……壁に伝う血も怖い、中々の惨状で──
ちょっとした事件の後みたいだ。
「はぁぁ……やべぇやつ入ったのかと思ったけど、これはこれでやべぇな」
「……労るどころじゃないんじゃない?」
ひそひそと二人はわたしを挟んで話してるけど、雪さんは何故か満面の笑みで……
「あ……ありがとうございます」
やめてくれとは言えず、雪さんに料理をお任せした。
壁と床は綺麗にしてからだけど。