御曹司たちの溺愛レベル上昇中
──わたしたちのチームには、中学生の頃にバレー部だった子が一人。
あとは吹奏楽や美術部などからちょっと動ける文科系の子達と──帰宅部のわたし。
それをカバーするための元バレー部の子をいれたチームなわけだけど、試合はデュースを迎えた。
「琉衣ちゃん一本!入るよ!」
「がんばろうねっ」
しかも、わたしがサーブ。
ボールを受け取ってサービスラインに立つけど、緊張感半端ない……
これミスしたらあちらがマッチポイントだよ?
誰か変わって欲しい本当に。
そんなこと思っても無理だけどさ。
「……はぁ」
ボールを構えた途端、視界の端に旗がちらつき、
「こーやーなーぎー」
旗を思い切り振り回す颯くんが口パクで言った。
『負けんな』
──分かってはいるよ?
「買ったら購買のメロンパン五個奢ってやる」
「え!」
なんて素晴らしいことを──
メロンパンに目が輝き、わたしのサーブは相手のレシーブミスでかえってこなかった。
またデュースに戻してから、
わたしはまた嬉しい気持ちをボールにのせてサーブし続けた。