御曹司たちの溺愛レベル上昇中
「──ゲームセット!」
ギリギリだったけど、最後はわたしのサーブだけで終わった。
チームでハイタッチしてる最中、線審を終えた颯くんが……
「あはははっ……!」
ステージに寄りかかって笑っているのが見えて、わたしは颯くんのもとへ向かう。
「ちょっとーそんなに笑うこと?」
「だって、サーブ打つ前嫌そうにしてたから声かけただけなのに、メロンパンで釣られるしっ。しかもサーブだけでしめるって面白すぎっ」
あはははっ、と笑いがおさまらない模様。
確かに自覚はありまくりですが。
にしたって……
「……っ脇腹いてぇ」
そこまで笑う?
……いいもん。先にステージの上にいこ。
「あっ!小柳っ」
「颯くん試合始まるよ。女子と違って男子はテンポ速いんだから。もう集まってる」
「え……まじだ」
ダッシュで男子側のコートへ向かった颯くんを見送りつつ、観覧場となってるステージの階段を上のぼる寸前──
お"……
階段下の横にちょこんと、雪さんが座っていて……
目が合ってしまうも、話しかけられないから、会釈したかしないかくらいですれ違っといた。
「びっくりした……」