御曹司たちの溺愛レベル上昇中
今週末に入居が決まったわたしは荷造りを始めた。
主にシェアハウスに身を置きながらも、
アパートの片付けもあるから、しばらくはアパートとシェアハウスを行き来することになる。
幸いにも部屋が狭いから、片付けるといってもそこまで大変なことはないが――
「……ちょっと、寂しいな」
貧乏でボロボロアパート住まい。
三人で仲良く暮らしていた部屋。
身長を測った跡、コーヒーを溢したシミ。
年季のはいった家具たち。
子供の頃から住んでいたから、それなりの愛着と思い出がつまっている。
貧乏でも、幸せというのは人並みに感じられいたと思うから。
「少しでも綺麗にしてから行くからね」
ボロボロの畳を撫でながら、わたしは荷物を纏めた。