御曹司たちの溺愛レベル上昇中
抜き打ち
「誰か何か頼んだか?」
「僕は何も。雪兄さんは?」
「俺も違うよ」
「わたしも頼んでないけど……」
じゃあ何だ?となり、颯くんが共有ルームから出ようとした時、ドアノブが動いた──
「はっ!?」
颯くんが思い切り後退ると同時に、入ってきた人物は、
「村田さん!」
わたしをここに導いてくれた紳士、村田さんだった。
初めて会った時と同じようにスーツを身に纏い、
被っていたハットを取ると、村田さんは微笑み混じりに会釈をする。
「お久しぶりでございます、琉衣さん。坊っちゃま方」