御曹司たちの溺愛レベル上昇中
高二年の春――父の単身赴任に母がついていき、一人暮らしデビューに至った。
生活費は毎月振り込んでくれた分でなんとかやりくりして、一ヶ月間過ごしてきたのだ。
「いってきまーす」
玄関に飾ってある三人の写真に必ず挨拶してから家を出る。
ガチャン──とドアを閉めた時、ポストに白い紙がはさまっていた。
「なんだろ……」
何食わぬ顔で紙を引っ張り出したわたしは、一瞬で青ざめることに。
"老朽化に伴い、アパートの取り壊しが決定"
「え……取り壊し……」
半年以内に住まいを見つけるように、と。