御曹司たちの溺愛レベル上昇中
取り壊しの知らせを握りしめながら、ヨロヨロと階段をおりる。
……どうしよう。
お母さんに連絡しなきゃ……でも、とりあえず学校に行って落ち着いてからに──
歩いても足が地についていない気がして、ふらふらとわたしの膝は笑いはじめた。
うまく歩けなくなって、よろけて電信柱に掴まりしゃがんだ。
「……どうしたらいいんだろ」
築38年、言ってはあれだがボロボロのアパート。家賃だって極めて安い。
今の家賃と変わらない場所なんか、なかなか見つかりっこない。
高校に通える範囲で──なんて条件付きなら、尚更。