御曹司たちの溺愛レベル上昇中
小鳥遊くんは小さく頷くと、顔を上げてわたしを見据えた。
「中学の時から、お前とは話す機会が多かったし……小鳥遊グループの人間だってことは自分から伝えたいって思ってたんだけどな」
でも──と、小鳥遊くんは続ける。
「結局言えずじまいでいたら、こんな訳わかんねぇバレ方するし。……しかも同居って展開だし」
後者はわたしの家の事情だけど、
わたしに伝えたいって思ってくれてたのが、素直に嬉しい。
小鳥遊くんは立ち上がって、ドアの前で止まった。
「ずっとお前を騙してるみたいでモヤモヤしてたから、こんな形になったけど、これはこれで悪くなかったって思うことにする」
背中しか見えないけど、小鳥遊くんの優しさが伝わってくる……
「うん、ありがとう。あと……これからよろしくね?」
「……わかった」
部屋を出ていこうとする小鳥遊くんは、何か思い出したようにこちらを向いた。
「ん?」
「ドア」
ドア?
「ちゃんと閉めとけよ。一応、女子だろ?」
い……
「一応ってなにっ!」
あははっ、と笑いながら小鳥遊くんは出ていった。