御曹司たちの溺愛レベル上昇中
新生活
「え?夜ご飯?」
「そ」
ルームシェア初日。
共有ルームのキッチンに居るわたしと小鳥遊くん。
「村田が買って置いた食材を使えばいい、と思ったんだけど。この通りだ」
開けられた冷蔵庫を覗けば、飲み物とちょっとしたお菓子だけだった。
わぁ……
「お菓子入ってる!」
「は?」
一人暮らし生活の時もその前も、あまり冷やさなければいけない類いのお菓子は家に置いてなかった。
あるのは煎餅とか、お饅頭とかだったから。
おぉ……やっぱり世界が違う。
しかも冷やしてあるお菓子、すごく高級そうなチョコレートだ……缶可愛いっ。
と思っている間に、小鳥遊くんは缶を取り出した。
「……え、夜ご飯まさかチョコレート?」
「んなわけないだろバカ」
そんな目しないでよ、ちょっとした冗談なんだから。
小鳥遊くんは缶を開けて花の形をしたチョコをひょいっと食べた。
「あ」
「……ん」
「え?」
もう一つ、同じものをわたしの顔の前に差し出した。
「あ……あーんじゃないよね?」
「バッ!?あげねぇぞ!」
「あぁ!やだやだ!引っ込めないで!ありがたく頂きますー!」