御曹司たちの溺愛レベル上昇中
前進
意外にも、初日の夜はぐっすりだった。
それに、ちゃんとベッドから落ちずに一晩過ごせたわたし。
ベッドの寝心地がよくて、何度も起きようと思ったけど、昼前までぐだぐたとしてしまった。
だから朝も昼も抜いて、着替えてすぐ、
わたしはアパートへ向かった。
***
「──よし、こっちのタンスは空になった。後は押し入れと……」
パンパンなゴミ袋に囲まれながら、わたしは順調に片付けを進めている。
色々な物が地べたに置かれてるから、すごく汚いけど……
「布団……どうしよ。といってもわたしのしかないんだけど。村田さんが用意してくれてたし……使うことないよね」
空になったタンスの近くに、敷きっぱなしだった布団一式を順に運ぶ。
「っしょ、っと」
あー疲れた。猫の手でもいいから借りたい……。
「少しだけ休憩──」
アパートに来る途中にスーパーで買ったお茶に伸ばしかけた時、玄関のチャイムが鳴った。
「……誰だろ」