御曹司たちの溺愛レベル上昇中
勧誘系かな、お客さんが来ることも配達員が来ることもほとんどないし……
もし勧誘なら、今は長話に付き合う暇はないからこれは出ない方がいいか。
うんうん、とひとり頷いてお茶を飲んだ。
「……帰った、かな?」
静かにしていたからうまく居留守は成功。
休憩したし、再始動しますか。
伸びをしてまたやる気を出すために、頬を叩いた。
誰もいない部屋には、ピタンっといい音が響く。
「土日が片付け日和なんだから、進められるだけ進めたいしねっ」
と押し入れのクリアケースを引っ張り出した。
「うわ、埃っぽいっ……一回拭かないと。あれ?掃除ペーパーどこ行った?」
ごちゃごちゃの中で埋もれたのかも。
「もうー」
ゴミ袋をどかしながら探していると、再びチャイムが鳴ってわたしは眉を寄せた。
「……いいやちゃんと断ろう」
穴を覗きもせず、わたしは土足で玄関の扉を開けた。