御曹司たちの溺愛レベル上昇中
屋上に移動して、柵に背を預ける小鳥遊くんと二人並ぶ。
グラウンドを見ながらわたしは切り出した。
「実はさ、ウチがなかなかの貧乏……でして」
「うん」
「アパートなんだけど、その……取り壊しが決まったみたいなんだ。半年以内に、住むとこ探さなきゃいけなくて」
取り壊し、という言葉を口にすると心が重くなり、柵に握る。
こんなこと、相談されても困るだろうな。
「だから遅刻したのか……んで、どうすんの?あてとかあんの?」
「あて……と言うか、遅刻した理由がもうひとつあって――」