御曹司たちの溺愛レベル上昇中
「村田はまぁあれだ。長期休みというか……孫が産まれたから、娘さんが落ち着くまで手伝いに」
「お孫さんかぁ……」
「でも俺らを心配して、ギリギリまで迷ってたらしいけど、しっかりとした方が来るから安心して留守に出来ます、って」
それがお前のことだったんだろ、と小鳥遊くんは話してくれた。
村田さんには、わたしがしっかりとして見えたのかな。だとしたら嬉しいけど、実際はそうでもないから……ちょっと申し訳ないな。
肩をすくめると、小鳥遊くんはわたしの肩に手を置いた。
「村田は、俺らの食事が一番心配だったと思う。俺らだけならゲテモノになるしな。でも……俺も響も、うまい飯食えてる。それはお前のおかげ」
「小鳥遊くん……」
少し涙腺が緩んでいるわたしを見て、小鳥遊くんはパッと手を離し、顔をそらした。
「だっ……だから、お前が来てくれて助かった。って思わなくない!って言ってやりたかっただけだ!俺は部屋に戻る!」
「あっ……!」
物凄い速さで二階へ上がっていっちゃった。
「……ふふっ」
やっぱりちょっとぶきっちょ。
でも今日は小鳥遊くんの言葉が嬉しいのだらけだった。
"わたしもここに居ていいんだよ"って、遠回しかもしれないけど、
そう、思ってもいいんだよね。