御曹司たちの溺愛レベル上昇中
何度か模索した通学路も今は、最適なルートで学校へ行けてる。
学校生活に変化があったのは通学時間くらいで、他はなんら変わらない。
そんな中、一番厄介なことと言えば──
「再来週にはテストがあるからなぁ、皆赤点をとらないよう、ちゃんと勉強しとけよー。はい今日は終わり」
うげー、とクラスからげんなりした声がもれる。
まぁ、テストが嬉しいって人あまりいないでしょうしね……かくいう私もその一人。
新しい環境になったからーなんて赤点の言い訳にはならないし。
ちゃんとやらないと。
図書室は……当たり前に混んでるのが目に見えるし、やっぱり部屋におこもりするしかないかな。
わかんないとこもあるから、先生にも聞かないといけない──アパートの取り壊しの日とかほとんど授業聞いてなかったから、一部習った記憶とかないもん。
自分が悪いんだけど……
「はぁ……憂鬱だ」
帰りたいけど、つい机に突っ伏してしまう。
「俺も」
頭上からの声に顔を向ければ、すでに帰り支度がらすんだ小鳥遊くんがいて、わたしを見下ろす。
「あ……小鳥遊くん、帰るのね。またね」
「……全然気持ちの込もってねぇ、またねだな。どうせテストだろ?悩みは」
「小鳥遊くんはないの?テストへの不安的な」
「ない。全くもってない。じゃあな」
体を起こして、いつも通り帰っていく小鳥遊くんの姿を見送った。
──なんて羨ましいんだっ。
だけどそこでふと思う。
「でも小鳥遊くん頭──」
あれ、成績いいほうだっけ?