御曹司たちの溺愛レベル上昇中
新たな悩み
「でーきたっ」
わたしはオーブンから鉄板にのったクッキーを取り出した。
返されたテストは赤点じゃなかったし、頭に叩き込んだオーブンの使い方をいかし、
昼食後、お菓子作りを有言実行していたところだ。
「……おお、なかなかいい感じじゃない?」
以前人参の型抜きで使った型を使い、色んなバリエーションで作ることが出来た。
アパートの片付けを手伝ってくれてる三人へのお礼も兼ねて、何にするか迷ったけど、難しいものを選んで失敗……なんていうのは嫌だったから、無難にクッキーにしてみた、というところ。
三人が部屋に戻ったのを見計らい、作り始めたからバレてないはず。
うまくできた喜びに顔を緩ませながら出来たクッキーを皿に並べていく。
あとはちゃんと冷ましてから、ラッピングに包んで……夜に渡せば──
「うん、美味しいですね」
あら?
ひょいっと別の皿のクッキーを口に運ぶ響くんに、全くもって気付かなかった……
「いい香りがすると思って来てみれば……ん、おいひい」
「……あ、ありがとう」
ラッピングの予定が……
「お、いい匂いすんじゃんか。小柳、有言実行だな。あーむっ」
「……クッキー、食べていいの?」
やはり香りでバレているのね。
小鳥遊くんは分かるけど、
雪さんまで来るとは……