御曹司たちの溺愛レベル上昇中
新たな悩み




「でーきたっ」




わたしはオーブンから鉄板にのったクッキーを取り出した。


返されたテストは赤点じゃなかったし、頭に叩き込んだオーブンの使い方をいかし、

昼食後、お菓子作りを有言実行していたところだ。




「……おお、なかなかいい感じじゃない?」




以前人参の型抜きで使った型を使い、色んなバリエーションで作ることが出来た。





アパートの片付けを手伝ってくれてる三人へのお礼も兼ねて、何にするか迷ったけど、難しいものを選んで失敗……なんていうのは嫌だったから、無難にクッキーにしてみた、というところ。





三人が部屋に戻ったのを見計らい、作り始めたからバレてないはず。





うまくできた喜びに顔を緩ませながら出来たクッキーを皿に並べていく。




あとはちゃんと冷ましてから、ラッピングに包んで……夜に渡せば──










「うん、美味しいですね」










あら?







ひょいっと別の皿のクッキーを口に運ぶ響くんに、全くもって気付かなかった……





「いい香りがすると思って来てみれば……ん、おいひい」



「……あ、ありがとう」




ラッピングの予定が……







「お、いい匂いすんじゃんか。小柳、有言実行だな。あーむっ」


「……クッキー、食べていいの?」





やはり香りでバレているのね。


小鳥遊くんは分かるけど、




雪さんまで来るとは……




< 91 / 154 >

この作品をシェア

pagetop