御曹司たちの溺愛レベル上昇中
三人揃って、クッキーを食べ進めている光景に予定とは違くなってしまったけど、
まぁいっか、と肩を竦める。
「いっぱい焼いたから食べてね」
「んぉー……めっひゃうまい。村田にも負けねぇな」
小鳥遊くんは口いっぱいに詰め込んでるのに、両手にもクッキー持ってる……美味しいって言ってくれるのは嬉しいけど。
わたしも食べよっと。
ハート型のクッキーを食べようとした時、響くんが後ろから袋をちらつかせた。
「琉衣さん、ここにあるラッピング用の袋……もしかして誰かに渡そうとしてました?」
「え?あぁ……」
響くんの言葉に、雪さんと小鳥遊くんの手が止まる。
雪さんなんて、一瞬で手を引っ込めていた。
だけどわたしは首を振って、本当のことを伝えることに。
「そのクッキー、ちゃんとラッピングしてから三人に渡そうと思ってたんだけど……このような形になりましてっ」
えへへ、と笑って誤魔化す。
「わざわざラッピングなんていいだろ?普通に作ったよー食いなーで。それともラッピングに意味でもあんのか?」
「……女の子はそういう見た目にもこだわるんですよ。すいません先走って食べちゃって」
「ご、ごめんね。俺も嬉しくてつい……」
「いえ、大丈夫です。まぁ一応ラッピングには意味はあったんですけど……」
「というと?」
未だクッキーを片手に苦笑いするわたしに、響くんが袋を置いて首をかしげた。