背中
サトミは、いつも自分を責め続けてきた。


勉強が出来ないのも。

体が弱くて運動が出来ないのも。

怖くて人と話せないのも。


自分に自信が持てずに、そんな自分を人に見せたくなくて、いつも背中を丸め身を守るように生きてきた。

そんな自分が胸の中に、夢を抱いているなんて、級友たちに知られるのが恥ずかしいと思ってきた。

またからかわれると思ってきた。


誰もが抱くような、ちっぽけな当たり前の夢。

そんなことすら、小さく押しつぶして心の底に閉じ込めて生きてきた。
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