背中
「ねえ。帰りに、野球部のグランドに行きたいんだけど・・・。」

申し訳なさそうにサトミがそう言うのを聞くと、キリコはピンときた。


そして嬉しそうに、机を手のひらで叩く。


「いいよ!いこ。」

そう言ってキリコは顔が崩れんばかりに笑うと、何度も何度も頷いた。


そんな友の様子を見てサトミも小さく頷くと、左に開いた窓の外を眺めた。


もうすぐ夏休み。

緊張の1年生でも、受験が近い3年生でもない、のっぺらとした時間が続く2年生。



そのうち、もう半年がたとうとしていた。
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