背中
ぎらぎらと輝く太陽。


サトミとキリコはハンカチを大きく広げて敷くと、野球部が練習するグランドを取り囲む草が繁った土手にそろりと座った。

なれない直射日光の下、10分間座っているだけで二人の額は玉の汗でぐしゃぐしゃになった。


「ねえ、サトミ。どの人?」

キリコはサトミが理由など言わなくても、なぜここに自分を誘ったのか分かっていた。


その言葉に、サトミは何も答えなかった。

でもその視線をたどれば、相手が誰なのかすぐに分かった。


「へえ・・・。」

キリコは、なるほど、なるほど、と何度か頷いた。
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