背中
「だめよ。あのピッチャー、付き合っている人がいるもの。ほら。」
キリコはそう言って、小さく隣を指差した。
サトミはぼうっとした目で、その先をたどる。
「ケンジくーん、ナイスボール!」
サトミたちから数メートル離れたところに座る二人の少女のうち、一人が大声でそう投手に声援を送った。
(すごい・・・。)
サトミは自分はこんなふうに、一途に、まっすぐに、想いを伝えることなんて、絶対に出来ないと思った。
うらやましいと思った。
「違うの。」
サトミはぽつりと言った。
その返事に、キリコは少し考え込んだ。
そして、ふと気がついた。
「キャッチャーの人?」
キリコがひらめいたようにそう言うと、サトミは恥ずかしそうに小さく頷いた。
グランドの周りの緑が、風に揺られてざわざわっと音を立てた。
キリコはそう言って、小さく隣を指差した。
サトミはぼうっとした目で、その先をたどる。
「ケンジくーん、ナイスボール!」
サトミたちから数メートル離れたところに座る二人の少女のうち、一人が大声でそう投手に声援を送った。
(すごい・・・。)
サトミは自分はこんなふうに、一途に、まっすぐに、想いを伝えることなんて、絶対に出来ないと思った。
うらやましいと思った。
「違うの。」
サトミはぽつりと言った。
その返事に、キリコは少し考え込んだ。
そして、ふと気がついた。
「キャッチャーの人?」
キリコがひらめいたようにそう言うと、サトミは恥ずかしそうに小さく頷いた。
グランドの周りの緑が、風に揺られてざわざわっと音を立てた。