背中
第五章 想っていた
輝く季節
声援に沸くスタンドの端っこで、サトミは最後の夏を見送った。
悔しさをじっとこらえながら、うつ向いて歩く投手へ優しい声をかける背中を、サトミは坂の上から見守った。
真っ暗になった練習場のホームベースの前で、ぐっと座りこむ後ろ姿を、サトミは遠くから見つめた。
そんな背中を見ても。
離れた場所から、想うしかできなかった。
青い日々が交わることはなかった。
すぐにでも駆け寄りたかったのに。
頑張ったね、てほめたかったのに。
でも、サトミはそれでよかった。
その背中を見るだけで、強くなれた。
そのときは、そう思っていた。
悔しさをじっとこらえながら、うつ向いて歩く投手へ優しい声をかける背中を、サトミは坂の上から見守った。
真っ暗になった練習場のホームベースの前で、ぐっと座りこむ後ろ姿を、サトミは遠くから見つめた。
そんな背中を見ても。
離れた場所から、想うしかできなかった。
青い日々が交わることはなかった。
すぐにでも駆け寄りたかったのに。
頑張ったね、てほめたかったのに。
でも、サトミはそれでよかった。
その背中を見るだけで、強くなれた。
そのときは、そう思っていた。