背中
夏は終わった。


練習場で大きな体を低くかがめて、投手の放る白球を受ける背中は見られなくなった。

自分と同学年の球児たちが、枯葉舞う中走りこむグランドを、サトミはじっと見つめた。


あの背中のように、また一年間、同級生たちは夢の舞台を目指して魂を燃やすのであろう。

何年も、何十年も、ずっとずーーと前の先輩たちも、歯を食いしばって泥にまみれてきたんだろう。



あの背中は、その歴史たちからすると、ほんの一瞬。

あの熱意は、先輩たちにもあった、変哲もない想い。



でも、サトミにとっては大切な大切な、背中だった。

この世に一つしかない、素敵な背中だった。
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