背中
第六章 よかった

凍る季節

雪が降っていた。


放課後。

凍りついた坂道に足をとられないよう気をつけながら、サトミとキリコが一緒に帰っていた。

グランドが見えてくる。


地面は真っ白に彩られ、凍えるような寒さに整備用の器具が震えていた。


もはや野球など出来なくなった球児たちは、真っ白な息を吐きながらただひたすらに走り続けている。

鼠色の空は落ちてくるのではないかと思うほど重苦しく、吹きすさぶ風は頬を切り裂くかと心配するほど鋭い。


サトミが沈んだ目でコートの襟に顔をうずめたとき、キリコがぽつりと言った。


「サトミ…、あれ。見て。」

サトミは顔を上げた。



その光景に、息を呑む。

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