背中
その背中は毎日、毎日、グランドの隅っこで走り続けた。


サトミはその姿を見ながら、来年に迫った受験勉強を始めた。

勉強はそれほど得意ではなかったが、毎日、毎日、こつこつとやっているうちにめきめきと成績はよくなっていった。


思えば今まで、一生懸命に生きてはいなかった。

なんでも諦め、苦しさから目を背けていた。

自分の弱さを、あの背中は教えてくれた。



そんな感謝に満ちた日々は、冬と一緒に過ぎていく。
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