背中
生徒玄関までやってくるバスの前で、卒業生たちは最後の別れを惜しんでいた。


3年間過ごした仲間たちと握手する人。

校舎を寂しそうに触る人。

じっと卒業証書が入った筒を見つめる人。


「ほら、あそこ!」

息を切らしながらキリコが指差すと、そこには校舎の前で写真を撮ってもらっている背中があった。


それを見ると、サトミは焼けるように熱くなった肺を押さえながら駆け出した。
< 37 / 98 >

この作品をシェア

pagetop