背中
その大きな背中は、数人の同級生たちと並んで写真を撮っていた。

そして、数枚の写真を撮り終わったあと、一人でデジタルカメラの前に立った。


サトミはその瞬間を待っていた。

太い右腕に飛びつくと、しがみつくようにカメラのレンズを見つめた。


「ちょ・・・。」

大きな背中は、思わず戸惑ったような声を上げる。


「いいじゃねえか、いやじゃないだろう?」

メガネをかけた知的そうな先輩が、カメラから目をはずして面白そうにそう言った。


「まあ、そりゃそうだけど・・・。」

その困ったような声に、サトミは噴出した。
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