背中
第九章 いた

ホームにて

改札の横にある窓からサトミが恐る恐るそう声をかけると、奥のほうから中年の男性駅員が小走りで歩いてきた。


「どうしました?」

駅員は少々落ち着かない様子でそうたずねた。


「いえ、落し物を・・・。」

サトミがおどおどした感じでそう言ってカバンを置くと、駅員はその口をあけた。


「何か、手がかりはないかなあ。」

独り言のように駅員がそう言った。


サトミは迷った。


「この人だと思います・・・。」

そう言って差し出した二人が並んで写る写真を見て、駅員は怪訝そうな驚いたような、不思議な表情を浮かべた。


「あんた、この人と知り合いかい!?」

突然乗り出してそうたずねる駅員に押されるように、サトミは思わず半歩下がった。


「ええ、まあ・・・。」

サトミは戸惑った。
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