背中
そこには二人の姿が映っていた。


困ったような柔らかい笑顔を浮かべる土門と、その右腕にしがみつく満面の笑みの女の子。

その笑顔を見て、土門の胸は高鳴った。


その純粋そうな目は、土門の心を吸い取るようであった。

写真の向こうの少女に、土門は初めて恋をした。


「あれ?その子・・・。」

隣から写真を覗き込んでいた奈央が、何かに気がついたように言った。


「なんだ?」

土門が不安そうに尋ねる。


「えっと・・・、確かこの子・・・。」

奈央は右の手のひらを頬に当てながらじっと考え、やがて口を開いた。


「いつもグランドで、野球の練習を見ていた子だ。」

その言葉に、土門の心は大きく煮沸した。
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