背中
第十六章 とぶ

跳ねる季節

会社の昼休み。

暑く、熱気に満ちた外から逃げ出すように、土門は同僚と喫茶店の扉を開く。


カランカラン。


扉につけられた鐘がなると、店員が奥の席を勧めた。

それに従って二人は席に着くと、いそいそとアイスコーヒーを頼んだ。


同僚は週刊誌を手に取り、土門はスポーツ新聞を手に取る。

今年も高校球児が全国の舞台を夢見て、技量を競っているようだ。


この頃の熱さは、自分にはない。

いろいろと書き留めていた手帳も、カバンに入れたままだ。
< 74 / 98 >

この作品をシェア

pagetop