背中
東京に行く日だって、時間を大事にした。


会社が終わった後。

背広を着たまま。

革のカバンをもったまま。


大きな夢をかかえて。

光り輝く球場。


そう思うことが、自分の逃げ道を絶っていることに気がつかなかった。

そのたった一つの支えたものがなくなったとき。


彼は。




折れた。
< 78 / 98 >

この作品をシェア

pagetop