手のひらの魔法
警察が何も動いてくれないので、色々考えた末、響希が「監視カメラつけよう!」と言い出した。
監視カメラについて全く知識のないわたしたちは、とりあえずバレにくいように小さめで取り付けやすい監視カメラを購入したのだ。
「よし、これでオッケー!」
日曜日の昼間、響希は説明書を読みながら玄関のドアの斜め上ら辺に監視カメラを取り付けてくれた。
そして響希は「これで明日、仕事から帰って来て確認してみよう!俺も一緒に来るよ!」と言ってくれたのだ。
「最近仕事忙しいんでしょ?大丈夫?」
わたしがそう言うと、「大丈夫だよ!残業にならないようにパパパッ!っと終わらせて来るから!」と微笑みながら響希は言った。
最近、仕事が忙しいにも関わらず、残業せずに一緒に帰宅してくれる響希。
無理をしているんじゃないかと心配になるが、響希はいつも決まって「大丈夫だよ、花澄はそんなこと気にしなくていいの!」と言うのだった。
そして、月曜日の朝。
わたしは監視カメラのスイッチをオンにしてから出勤した。
帰って来たら、犯人が分かる。
やっぱりこの嫌がらせは茜さんがやっているんだろうか。
わたしは複雑な気持ちのまま、この日を過ごしていた。