手のひらの魔法
少し肌寒くなってきた夕方の18時半頃。
「お疲れー!」
そう言いながら、響希がこちらに向かって走って来た。
わたしたちはいつの間にか、わたしが働く会社付近にあるセブン前で待ち合わせするのがお決まりになっていた。
響希が働く会社もここからそれほど遠くはないらしいので、自然とここが待ち合わせ場所になったのだ。
「お待たせ!」
疲れた様子でわたしの目の前まで来ると、響希はそう言った。
「お疲れ様!今日も忙しかったんでしょ?大丈夫?」
わたしがそう言うと、響希は「大丈夫って言っただろ?」と笑って見せ、「それより、早く帰ろ!」と続けた。
そして、わたしたちは急ぎ足でわたしの自宅へ帰った。
すると、やはり今日もいつもと同じような言葉が書かれた紙がドアに貼り付けられてあったのだ。
帰宅したわたしたちは、早速取り付けた監視カメラに録画された映像を見る。
すると、15時頃に人影が映り、わたしの部屋の前で立ち止まる人物が居た。
「あっ、やっぱり、、、!」
そこに映っていたのは、やはり茜さんだったのだ。
周りを気にしながら、わたしの部屋のドアに紙を貼り付け終わると、すぐに去って行った。