手のひらの魔法

「先生、誤解です!嫌がらせを受けていたのは、わたしの方、、、」と言うわたしの言葉を遮るように「君の話しは聞いてないよ。」と栗原先生は言うと、「どこか他の病院を探してくれ。皮膚科なんて、そこら辺に山程あるだろ。」と冷たい言葉を放ち、「さあ、お帰りください。」と言ったのだった。

わたしは涙を堪えながら、「今までありがとうございました。」と言うと、診察室を出て、そのまま待合室を通り過ぎ、総合受付で保険証だけ返して貰うと、病院の外へと出た。

そして、正面玄関横にしゃがみ込み、一人で泣いていたのだった。


しばらく涙でボロボロになりながら、一人でボーッとしていると、スマホがブーブブッと鳴った。
きっと、響希からのLINEだ。

スマホを出して見ると、やはり響希からのLINEだった。

{ 大丈夫?もう終わりそう?)

響希のLINE内容から時間を確認して気付いたが、響希にここに送ってもらってから既に3時間も経っていたのだ。

わたしはあまりのショックで響希に連絡することも忘れ、3時間近くもこんな正面玄関横にしゃがみ込んで泣いていたのだ。

わたしは響希に電話をした。
すると、響希はすぐに電話に出た。

「もしもし?花澄?」
「、、、響希ぃ、、、、、」

泣いているわたしの声に響希は「すぐ行くから。」とだけ言うと、電話を切った。

それから5分もしない内に響希は車で来ると、わたしがいるすぐ目の前に車を停め、わたしの元に駆け寄って来て強く抱き締めてくれた。

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