手のひらの魔法
わたしは、今日あった出来事を響希に話した。
水没で故障した電話。
それは確実にわたしの手が原因であること。
しかし、それを言い出せなかったわたし。
響希は時折、相槌を打ちながらわたしの話を聞いてくれていた。
「それは仕方ないよ。花澄は悪くない!」
「でも、、、」
「気にするなって言っても、花澄のことだから気にしないのは無理かもしれないけど、花澄のせいじゃないよ。」
「、、、ありがとう、響希。」
そのあと、わたしたちは久しぶりに昔の懐かしい話をした。
幼稚園の頃、「大きくなったら結婚しようね!」なんて可愛い約束をした話や、小学生のときにわたしへの誕生日プレゼントで響希がウサギのぬいぐるみをプレゼントしてくれた話。
「あのウサギのぬいぐるみ、まだあるんだよ。」
「えぇ!!マジで?!」
響希との会話は楽しかった。
こんなに笑ったのは久しぶりかもしれない。
懐かしさからの楽しさもあったが、わたしは響希のことが好きだった時期があった。
でも、響希は人気者だったから、わたしなんて不釣り合いだと諦めていたのだ。
あの時の気持ちが少し疼いていることに気付く自分がいた。
でも、ダメダメ。
響希には、彼女がいる。
わたしは、思い出しかけた自分の恋心に蓋をしたのだった。