手のひらの魔法
それから数日後のことだった。
仕事から帰宅し夕飯を作っていると、居間のテーブルに置いてあるスマホがブーブブッと鳴ったのだ。
音の鳴り方からLINEだと思ったわたしは、一度包丁を置くと、手を洗い、スマホを取りに行った。
"新着1件"
わたしはLINEを開いた。
すると、知らない名前の人からのLINEだったのだ。
「、、、あかね?」
今までに会話したトーク履歴はなく、一番最初にこう書かれていた。
{ 響希に近付くのはやめて。 )
そのトーク内容に、わたしはすぐに響希の彼女だと気付いた。
でも、何でわたしのLINEを知ってるのだろう。
わたしは誤解があってはならないので、すぐに返信をした。
( 誤解しないでください。わたしたちは、ただの幼馴染なだけです。 }
すると、すぐに返信がきた。
{ あんたこないだ、響希と電話してたでしょ?!しかも2時間も! )
( すみません、あのときはわたしの愚痴を聞いてもらっていて。あれからは連絡は取っていないので、安心してください。 }
{ 次、響希に近付いたら許さないから。)
( はい、申し訳ありませんでした。}
それから、茜さんから返信はこなくなった。
きっと響希のスマホを見たんだなぁ。
響希が言っていた通り、本当に嫉妬深い彼女なんだと、少しだけ怖さを感じたのだった。