マフィアの弾丸 Ⅲ





 「…ッ、ふ、くっ」

 「…いちいち黙るな。言っただろ」

 「っ、…」



 「…それとも、まだこーゆーコトされたいか?」


 「ッン、……ッッァ、いやッッ!」



 まろびでた、男の口淫すら慣れていない赤いしこりを、舌裏をつかって突つけば、ひくり。飛び上がったか細い腰。


 美酒のような蜜は、その割れ目よりとめどなく溢れ。

 本人の心や理性とは反して、快楽を求め彷徨う。



 しかし、そんな情事の駆け引きすらも無知な少女は、ただ人外的美しさをもつ男たちの手管(てくだ)によって甘やかされ、与えられ、表しようのない快楽をおしつけられるだけ。



 それがいかに、未体験な彼女にとっての拷問かを
 彼らが、知らないはずは無かった。




 「っ、や、こ、……っこういう、の、(きら)っ」

 「…あぁ」

 「……っ、こい、恋人、とかじゃな、ぃ、のに、」

 「その応えは捉えようによっては『恋人だったらシテも良い』に解釈するが…。それでもいいのか」

 「っっ、」



 ツゥ、と内腿を、男らしい指先で撫でられ咄嗟に伊万里は、口を閉ざす。



 ・・・・・しくじった、


 今のは、愚問だった。

 失言だ。



 現段階上、まだそこまでの関係性に(もつ)れこむには身分も、何もかも、
 明かしていない事情がコチラとて山ほどある。



 解決すべき点はいまは、

 ────…その時じゃない。


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