マフィアの弾丸 Ⅲ





 ────…っと!に、

 あぶ!・ッなかった・・・・・・っっ。




 それまでは憐憫(れんびん)を含んでたような声の調子だったというのに。



 突如、手当してくれていたはずの足首を僅か、持ちあげられるなり
 ススス────、と嫌味ったらしく
 ふくらはぎを撫でられて。

 ソレにはさすがに何事かと、
 声を張り上げそうになったのを何とか堪えた状況であった。




 ビクリ、大袈裟な反応だったと自覚はあるけれども、もうこの際、
 それどころでも無く。

 ついさっきまで思考していた
 もやもやとか、疑心だとか劣等感とか。


 そういった類いの感情が一気に、相殺(そうさい)されるくらいの
 衝撃だったほど今は自分が保てない状態だ。


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