マフィアの弾丸 Ⅲ





 ッ・・・・・・・な、に、?




 なんなんだ。と歯向かうがごとく足下に(かしず)くようにしている
 シルバーブルー頭の男に
 視線を下ろしてみれば、先程とは
 打って変わって食えないような笑みを浮かばせた変わりよう。




 (…………っ)




 鋭利で冷たくて妖しい、濡れたような純銀の双眸が、月光によって妖しく翳っていることがさらに
 男の野生的な美に、拍車をかけていて────…、




 「────なァ、」



 「……、っ」




 ────つ、と素肌のふくらはぎをなぞった指先。



 人肌よりずっと冷たいと感じてしまうのは、今が真冬だからなのか、



 まるで、肌を暴いていくみたいに、強引に、…それでいて決して
 横暴すぎるでもない繊細さと、丁寧な触れ方。



 え、と身を竦ませる間もなく
 太腿の内側にまでまわったその、ごつごつとした男の五指には、
 どこまでも丁重さを
 重んじているようにも感じ素直に肌が(あわ)立つのを止められなかった。




 (じか)につたわってくる、触れた体温と感触。



 こんな、あけすけに触られる、なんて当然、男性経験…どころか、
 彼氏彼女経験すらない私にとっては
 はじめての体感で。



 そのうえ野生的に閃くその眼差しは、どんどんどんどん、危険度を増して
 いくようにおもえる。




 (………嗚呼、イヤだ、この目。絶対、…何かを見透かしてる)


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