マフィアの弾丸 Ⅲ





 自分の股のあいだに埋められていく、猛烈に美しくも野生的な男の、ゆったりと波をえがいたシルバーブルーの髪が────、真冬の
 冷気によって柔らかく、靡き流れる様はまるで月下の、ヴァンパイアのように尖った美しさをまとっている。




 ・・・・ほんとに、

 どこをきり取っても見目麗しいと言えるひと。



 なのに・・・・・・、




 伏し目がちの眼許はいまは、私の恥じる姿を憐憫(れんびん)に見つめあげにきて。

 その間にも、スルスルと丈の長いドレスを捲り上げていくことを忘れない、その、女性慣れした手際のよさも、



 …頭に、冷や水をぶっかけられたかのごとく冷静さを回帰させ得る要因でもあって、




 「っっ、」



 (もも)のうち側に、触れてくる吐息が、・・・・熱い、
 沸騰したような焼き石をこすりつけられているような錯覚。


 そうやって与えられる熱に、弾力に、吸い付かれたような感触に、困惑に揺れた私をアーウェイさんは、
 濃度のたかい純銀の双眸で
 ジ、と上目遣いに見定めにきているのだ。




 おもわずこの男に、・・・・・懐柔(かいじゅう)させられそうになる、




 そう、

 打算的に考えてしまった刹那だった────、




 「ナァ、────…知ってっか?」


 「、…ッ」

 「男は自分の好いたオンナには容赦ねェーんだよ。……勝手なモンでな、
 自分の欲求の一切すら
 受け入れて、ありのままの素体ごと寛容して欲しいって思っちまってる」


 「…」




 ここにきて、・・・・・・なん、の、

 ハナシ?・・・だ?



 …と、ぐいぐい上げられていくドレスの裾にストップをかけつつ。

 彼の言わんとしている領分がなんなのか、とりあえず耳を傾けていれば、




 「要するに、
 ────ソレと同等でオンナの"ぜんぶ"も、
 己の手中に収めてェって欲が先走っちまうのが男の厄介な(タチ)でよ」



 ・・・・・・だから、

 だから?脈絡がなくて反応に困る、



 「"アイツ"の、バスト、ウエスト、ヒップ、アンダーバスト」



 「?!!っ」


 「まァ…、その他諸々サイズはぜんぶだな。逐一、目測でわかるくれぇには
 手離したくねェーじゃじゃ馬なンだよソイツ」


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