マフィアの弾丸 Ⅲ

　「お嬢さん、初めまして。ウォングループ総代の側近を務めております、ウォン・アーウェイと申します。
　失礼ながら、


　……お嬢さんの、名前を伺っても？」




　美丈夫な男の、────その、"行為"に。



　急激に、ザワリざわりと。

　人々の息を呑んだような悲鳴と、ひそひそ話が、息を吹き返したように会場内を覆い尽くした。




　アーウェイは、躑躅(つつじ)色にグラデーションの施された彼女の髪を一房、指先に絡ませ耳裏に流してやると、そのまま丸い頬をすべり、白く、細い彼女の手を
　無骨な五指が下から掬うようになぞっていく。




　そして柔らかく引きあげられた瞬間、────…それはごく。

　自然な流れのように事は、運ばれたのだ。