マフィアの弾丸 Ⅲ





 ジリジリ────、懐疑(かいぎ)的に追い詰めにくる質疑(ことば)攻めと肌に
 直接、触れて
 絡みついてくるようなシルバーブルー頭の、男の指先の感覚。



 伏せられた銀水晶の双眸を、おおうように伸びて、影をつくるそれは
 睫毛の長さまで
 強調してくるから尚、たちが悪い。




 どこまでも芸術的美で、

 ・・・・・品格のある。


 研ぎ澄まされた綺麗な人。




 単純にも、そんな感想を抱かせる姿は他者にも有効ですでに
 パーティー会場でも、
 黒服のイカつい護衛の彼らですらその視線を集め、────且つ、屈服させる畏敬のオーラを放っている様に感じる。



 そう、…イマも。

 そんな状況の渦中だというのに、




 (………なんだってこうも、外見が小奇麗で派手な男はこんな、
 度を越した行為さえ下品に映らないんだ)




 (いささ)か疑問だ。

 甚だ、疑念だ。



 現状、腿の内側を押し開けるようにわし掴まれ、それでも身元がわかるワケにもいかず
 私は黙したままだったのだが、




 「────ッッ、」




 ────内腿を、

 する、と撫でるように這う無骨な指が。



 しだいに、逸れがちなこちらの意識を、ひきもどすみたいに際どいラインまで
 上りつめてきたのでギョッ、として喉が引き攣った。




 ・・・・・・・ぁ、・マズ、イ・・・、



 …こんな。


 こんな公の場で、噴水なんてある人目につきやすい場所に
 ついて来るんじゃなかった、なんて思うも
 刻すでに遅し。




 ロングドレスが無様にも太腿より上まで捲られだした頃には、いよいよ
 抵抗しようと(かんが)みて開口しようとした────、




 『仮に、声を聞いた時点で『貴女だ』と判別できる
 間柄であるなら
 こちらとしても不利なのですよ』




 「────ッッ」


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