マフィアの弾丸 Ⅲ





 ・・・・・くすぐったく、

 熱くて。




 さっきから、ちりちりとむず痒い感覚ばかりに襲われるのに逃走本能が、まっとうに

 うごいてはくれない。



 でもそれ以上に、自身のあられもないばしょにその、すぎた美顔が埋められてる、なんて現状のほうが理解が追いつかなく、っ、て。




 非情な、現実。

 いやだ、と叫べたらどれだけ抵抗になろうか。




 それなのに、こちらの気持ちとは逆行(ぎゃっこう)に。

 ゆっくり、じっくりくりかえされる"ソノ"行為は、どんどんどんどん、加速されてゆく。




 「……ッッ、」



 ・・・・・・ック、やだ、

 イヤだ、・・・・・っ知らないっっこん、な。




 噴水周りの、綺麗に(あつら)えられたんだろう芝生に、流麗に片膝をついて。



 さっきまで魅力的に感じてた口だけは達者の、ダークレッド色の唇が。

 自身の、股の間の中心部をぴたり、根本まで咥え込まれている、と体感でわかるとさらに、



 ────…困惑と、

 拒絶が頭を支配した。




 ・・・・・・だって、

 信じられ、なっ、




 (・・・・・な、に、や、・・・・っ、こんなの、知らなッッ、)



 ふだん意識しない、しこりみたいな箇所にグイ、と押しつけられた、造形美な顔。

 "ナニか"に撫でられるたびに、腰が浮き上がって沈んで、の、くりかえしで。


 ゾワゾワと背筋を駆け上る感覚に、自分じゃわからない感情が湧き立つもの、酷く焦るものと。



 こんな、"コト"の行為にすら慣れているんだろう、巧みな舌使い。


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