マフィアの弾丸 Ⅲ
────…あれからどうやって
自宅まで帰宅したのか、おぼえが無い。
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────…ぴちゃピチャぴちゃ、ピチャ。シャワーのお湯を、矢鱈に頭からぶっかけながら
ぼぅっと鏡にうつる
じぶんの姿を意味もなく、途方に暮れたように眺め見つめおろして。
・・・・・嗚呼、・・つかれた、
そんなふうに意識が追いつけば、ドッと押し寄せた疲労感と鬱屈感に
おもいっきり目蓋をぎゅ、と瞑るしか遣る瀬のないことに、ただひたすら、頭を抱えた。
(………何なん、だよ…、もう。
アレこれ)
豪奢絢爛の、現実ばなれした階層。
華やかに着飾る令嬢や芸能人、紳士や大使館、大総統たちなど。
見目麗しく装った、人々の羨望のさきに在るのは数多の視線をあつめて止まない、
────…知り合いの、
"彼ら"。
その、あとの、
────…記憶まで、しっかり。
"信じられない行為"ごと、
おまけ付き回想としてよみがえって来てしまう事態には。
さすがの私も。
咄嗟に、
シャワーヘッドを突っ掴んで自分の股付近をじゃーじゃー、じゃーじゃー。記憶を
押しコロスように
流しまくったワケなのだけれども。
「ッッ、──」
消え、ない。
舐められた感覚も消えなければ。
下ろした視線のさきの、紅い"描きモノ(?)"さえお湯で消えてはくれない。
・・・内腿の付け根に
いくつか色付く紅く、変色した箇所が。
まったく困った事態だ由々しき事態だナンなんだ、いったい、これは。