マフィアの弾丸 Ⅲ





 錆びれた椅子に縛りつけられた、愚かな真似を仕出かしたこの、ブロンドヘアの女も、
 所詮は
 その一端にすぎなかったのであろう。


 涙と鼻水でいろどられた美しい顔ばせが、これほどまでに

 恐怖に(まみ)れると醜く、アヒルのように変貌してしまうものなのか。




 ────…否、とは言え。



 この女にまで魔の手が及ばなかったのは、せめてもの救いであるのかもしれない。

 もしも"彼女"に、手酷い仕打ちをほどこしてしまった暁にはこの女豹はもう____、


< 45 / 76 >

この作品をシェア

pagetop