マフィアの弾丸 Ⅲ
一刻は、水をさした。と或いは、己にその敵愾心を向けられるかもしれない。
そんな風に危惧し、肩身を引き締めた黒服たちであったが。
────しかし、
"カーフェイ"の名指しがかかるとあろう事か、ピタリ。
彼の動きは抑制され
あっ、と思う間もなくアーウェイは興が削がれたように、あっさり踵をかえしてしまった。
その後、コンクリート部屋を立ち退いた彼の背後から────…
異様に気味悪く響きわたったのは、
荒んだ
女の断末魔だけが
甲高く、
空気を裂いた────…。