マフィアの弾丸 Ⅲ





 「あ母さんも行くからちょっと待って、」と。

 お握りを
 作ってくれていたのに
 ゴミ出しまで手伝ってくれようとしたものだから、咄嗟に。



 「…大丈夫、ん。私、持ってくよ」


 だいいち、分担したほうが早いし。なんて、慌てる母さんを手のひらで制し
 ゴミ袋をもち出すと玄関に赴く。



 「いつもごめんね伊万里。朝早いの苦手なのに、」


 「…ん、いや、大丈夫。すぐソコだしね」

 「暗いから気をつけてよ」

 「……ぅん。気をつける。…あ、母さん」


 「うん?」


 「…きょう、ちょっと喘息でて、て。バイト、休むよ」

 「え?!あら大丈夫?!!…もうー、いつもそんな薄着でいるからぁ。吸入は?ちゃんとした?」


 「…うん。した、大丈夫」



 大袈裟のような、過剰なような母さんからの配慮と、いつもの気遣いの言葉がかけられる事には。

 あたりまえ、なんだけど凄い温かいことなんだよなぁ…。なんて身に沁みた実感を感じるとともに冷めていたココロがじんわり。


 滲むものがあって。
 私は微かに、笑みが溢れた。


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