マフィアの弾丸 Ⅲ





 宵闇のなかでもよく、映える、絹糸のようなグレーブラックの髪はこんな
 朝方にしても、
 きれいにオールバックにセットされている。



 さらり、冷気に靡かれその猛烈ばかりの面立ち露わに、眼前まで
 歩み寄ったカーフェイさんは。

 サングラス越しに
 ゴミ袋を両手に掲げたままの私を見遣る(────、そう認識した)と同時、


 静かに上体を屈め
 もっていたソレらをあっさり、片手で引き取ると、




 「…おい」


 「────ハッ」


 ふ、と香ったアロマのような匂いとスカッシュのような、香りと、喫煙者特有のにおいと。


 いつの間にやら彼の、身辺警護をするかのごとく背後に
 控えていた強面の。

 ハイグレードな黒スーツをピシッ、と
 フィッティングした
 丸坊主の男性の、ひとりに。



 そのゴミ袋を(…まさかの)預けた、




 ・・・・・いや、え?

 っえ?



 おもわず二度見しちゃいましたよ、

 二度見しちゃいましたからね?




 なんのために引き取ったんですカーフェイさん。

 しかも自分ではもっていかない、・のね、



 気付いたら
 黒服の護衛さんがゴミ置き場まで、(めちゃくちゃその姿は違和感、ありまくりだけども)持っていってくれましたとも。


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