マフィアの弾丸 Ⅲ
そして気がづけば、見慣れたあの、高級車種である黒塗りの
リムジンのまえに
来てしまっていて。
近頃はご無沙汰だったために、些か萎縮するこころ持ちだが。
立ち所に意識がトリップするのは先日、見てしまった光景(────と言うより、
盗み見に近いかアレは)で。
・・・・・そう、だ。
あの日、通帳を職場に置きわすれた日。
カーフェイさん、が、伊周さんと相対してた、
「…っ、」
そこから一気に、グワッと回想やその後のパーティー会場での不祥事《アレこれ》など
その他、諸々まるで。
まるで走馬灯のごとく頭のなかに一瞬で、蘇ってきたことには
冷静ではいられない感情の波が駆けめぐり
さすがに、
────、ピタリ。
足を、
止めてしまった。