マフィアの弾丸 Ⅲ





 ・・・嗚呼イヤだ。

 ものすごく気が引ける・・・・・。




 スキンヘッドである黒服の、護衛(らしき)男性によって、開扉されたその、ラグジュアリーな
 車内に
 身を投じるには今は────…。



 つくった"顔"すら作れない。




 「…どうした、」



 どこまでも、絡みつくような甘い重低音。



 機嫌が悪そうとは言え、
 気遣わしげであることは変わらずのその、トーンに
 「…ぃえ、」と。ただ反復した
 あたりまえの返事しか言葉を落とせない
 自分に、



 考えれば考えてしまう

 ほど疲れきって、答えがわからなくなってしまって。



 結局____…言われるが(まま)

 連れ添われる儘。



 身を低くしてステップをふみ乗り込んだ車内の、奥の
 ソファーシートに嘆息をふくめた視線を
 向けた────、











 ・・・・・ら。




 「____よォ。相っ()ァ〜らずお前ぇ貧相なまんまだなオイ」


 「…」



 即座に。

 私は回れ右をした。


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