マフィアの弾丸 Ⅲ
____かぷ、
「?!!◯×△※゛%〒〜〜〜っ?!!」
────突如、至近距離に、耳に、吐息がふりかかったとおもったら
与えられた熱と、感触に
驚いて、奇声を上げてしまった。
こ、こいつ!いま、何っ、何しっっ、
「なっ!ン、なっ?!!にす、」
「『何ぁ〜にシ』てほしいって?」
「はいぃ?!」
咄嗟にふり返ろうと身じろぎするのに、それすら、見越したように
ガッチリ。肩に回しこまれた
シルバーブルー頭の、"ヤツ"の腕。
おかげで
私は拒絶も鉄拳もかます事がままならない上に。
小綺麗に波うつ
繊細そうな髪と、"ヤツ"の、
異常に整った面差しが肩口に乗っかっているせいでふり切ることすらもできない。
まるで
蛇の巣にいるみたいではないか。
・・・・・と、言うか、いま、
いまコイツ!
ぜっったい耳噛んだ!!!
信じられない!!!
この期に及んでまだ、こういうコトする?!!
神経疑うぞマジで!!!!
「セクハラ禁止です」
「『せくはらぁ』?」
「セクハラとは、セクシュアルハラスメン、」
「阿保知ってるわボケ。セクハラっつーのは下心満載の
隠れ蓑でしか欲求を満たせねェー
小物のための秩序制定であって
おれには無縁無縁」
「あんたも十分、下心満載だよ」
「どこがだよ」
「どっ?!どこがぁ!って言う?!あっ、あんなコト、シておいっ、って」
・・・・・・あっ、
やば、い。口滑っ、
「────『あんな事』?」
・・・・・時遅かりし。
私が、アーウェイさんに向けて勢いついて文句をつけようとした揚げ足を、取るみたく。
こんどは目の前の
ソファーシートに座するカーフェイさんの、絡みつくような低くて、
怪訝の含む声が。
平生を失ってた私を冷静へと、引きもどして────…、
「────へぇ?『あんな事』、ねぇー」
いや、もう、ほんと。
あなたは黙っていてください。